このような災害として震災・水害・地すべり・崖崩れ・地盤沈下・海岸浸食・落盤などが挙げられます。そのため、その犠牲になる住民と、災害発生や災害救済の責任者である民間企業、地方自治体や国との間で多くのトラブルが引き起こされています。
国土問題研究会は、従来の科学技術が「公共」という名目で開発を進める側にだけ奉仕させられ、ともすれば開発の犠牲となる地域住民のために活用されなかったことに対する反省にたって、昭和34年の死者5000名を出した伊勢湾台風を契機として全国的に広がってきた被災者救済と災害予防運動からの要望もあって、昭和37年に設立された組織です。
設立にあたっては、元国民経済研究協会常務理事・故佐藤武夫、元参議院議員・元民主団体災害対策会議常任幹事・故兼岩伝一らの尽力がありました。
国土問題研究会のめざすところは、科学技術者の社会的責任を自覚し、住民のための安全で住み良い地域づくり・国土づくりやそのための科学技術がどうあるべきかを調査研究のなかで具体的かつ実践的に明らかにしていくことにあります。
われわれ国土問題研究会のメンバーは、各々の専門領域でのより深い科学的な研究を基礎としながら広い分野の科学者・技術者・自治体労働者等を結集して、住民の立場に立って、問題の起こっている現地に出かけ、住民とともに進める総合的調査研究の実践が是非必要であると考えます。
われわれは、このような「住民主義」「現地主義」「総合主義」の調査『三原則』を基に、従来の「専門分担型」の調査研究から、「総合討論型」の民主的調査研究の方向を指向し、さらに将来への科学的展望を含めて調査研究を進めております。
本会は、このような趣旨のもとに
1. 環境(砂利採取・下水道・し尿処理・宅造・埋立・団地・ニュータウン)
2. 公害(大気・水質汚染・発電所・ゴミ問題・騒音・振動)
3. 都市問題(流通センター・再開発・都市計画・爆発)
4. 建築(マンション・ビル・欠陥建物)
5. 地域開発(観光・町づくり・町並み保存・学校・リゾート・ゴルフ場問題)
6. 道路交通問題
7. 地盤・斜面災害(造成地不等沈下・陥没・地辷り・崩壊・土石流)
8. 地震・火山・その他の災害
9. 治水(水害・河川改修)
10. ダム問題(ダム災害・堆砂・ダムアセスメント)
11. 利水(上水道・水資源)
12. 農林水産問題
13. 海外の国土問題
などの、国土に関する諸問題を取り扱い、それらの問題の解決に少しでも寄与しようと、活動しています。
☆ 機関誌やニュースの発行、研究資料の刊行などを行ないます。
会員は、機関誌やニュース等の配布を受け、本会の諸活動や会合に参加し、本会の事務所や資料を利用することができます。
☆ 会員は全国にわたっていますが、比較的京阪神方面に多いので、事務局を京都においています。
☆ 本会には、科学者、技術者のほか、コンサルタント、教員、弁護士、労働者、学生、住民運動関係者、自治体職員、議員等も参加しています。
なお、会員の専門分野は、地質、地域計画、都市計画、建築、地理、土木、測量、労働問題、住民運動、農林、物理、化学、法律、生物、河川水理、行政、経済、気象、地震、砂防、機械、歴史文化等です。
☆ 本会は、理事長、副理事長、事務局長等の役員をおいて運営を分担しています。
理事長: | 武蔵野 實 | 元京都教育大学(環境地学) |
副理事長: | 磯部 作 | 元日本福祉大学(地理学) |
上野 鉄男 | 元京都大学(河川工学) | |
中川 学 | 元京都府(河川計画) | |
事務局長: | 奥西一夫 | 元京都大学(災害地形学) |
事務局次長: | 紺谷吉弘 | 元立命館高校教諭(地質学) |
顧問: | 志岐常正 (死去) | 元京都大学(地質学) |